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「おら、男がぴーぴー泣くんじゃねぇよ!な。」
さらさらとした少年の
柔らかい髪をぎこちなく
撫でながらそう言うと、
少年は少し驚いた顔で
俺をじっと見つめていた。
その瞳にもう涙はなくて、
俺はふうと一息吐いた。
「泣き止んだな、じゃ一緒に交番行くか。きっと母ちゃんもお前を探してるよ。」
「…うん…。」
俺はその返事で頭から手を離し、
少年の手をそっと引いて
出来るだけゆっくり歩き出した。
控えめに付いてくる少年が
何だか可愛くて、
柄にもなく俺は微笑んだ。
端から見たら相当
気味が悪かったに違いない。
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