桃太郎

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単細胞生物と名付けられた赤ん坊はしゃれにならないスピードで育ち、五年でおじいさんとおばあさんの背をぬきました それからも単細胞生物は、おじいさんとおばあさんに物凄く可愛がられました 「おい、単生。茶」 「はい、お爺様」 「単生、洗い物終わった?」 「はい、ただいま」 二人が単生をこき使っていると 「ちょっとまて、ナレーション」 何で聞こえてんだ? 「それはおいておけ とりあえず、お前まで略すな、ナレーションはしっかりやろう」 お前、単細胞生物って五文字も使うねんぞ?お前だけで五文字も使うと、後書けへんねん 「お前が付けたんだろ!」 うるせぇな、もっと酷い名前にするぞ? 「...例えば?」 書いたら確実にペナくらう名前とか、絶対いじめられるような名前 「止めろ、絶対止めろ」 口のききかた悪いなぁ 「止めてください、お願いします」 よし、OK、んじゃ続きいくで 「はい」 では、改めて 二人が単生をこき使っているとおじいさんが突然 「何かお前呼びにくいわ 今からお前あれな、名前、田中な」 「...はい?」 「よっしゃ、決まったわ やっぱ単生何て呼びにくいんだよな」 「あの、それって普通みょうじに使うんじゃあ」 「おう、だから田中桃太郎な 桃太郎入れといた方がいいだろ、物語的にも」 「シンプルイズベスト」 おじいさんとおばあさんは口をそろえて言いました 単生に拒否権など存在するはずもなく、単生からめでたく田中桃太郎になりました 「...まだましか」
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