降り掛る災難編

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11:50 水田と畑の風景が、活気付いた町並みに変化していく。 街道は祭に向かう人で溢れ返っていた。 「随分と人が増えてきたね…。降りた方がよさそうだ」 「うむ」 そう言って馬から降りる。馬もやれやれと言った風に、頭を左右に振った。 こんな人混みの中を歩くのは馬も神経を遣うのかもしれない。 「暫く歩こうか。」 「そうするのが賢明だろうな。歩きながら見物というのも悪くない」 12:10 馬の轡を引きながら町を進めば、聞こえてくるのは祭の話題ばかりだ。 隣村の誰が出店を開くとか、祭の途中で喧嘩が起きるのは慣例とか…… …ああ駄目だ、彼を思い出してしまった。 今日は絶対に会わないようにしなければ……秀吉を奪われてたまるか…! 「どうした半兵衛、微かに殺気を感じるぞ?」 「ああ、何でもないよ」
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