145人が本棚に入れています
本棚に追加
11:50
水田と畑の風景が、活気付いた町並みに変化していく。
街道は祭に向かう人で溢れ返っていた。
「随分と人が増えてきたね…。降りた方がよさそうだ」
「うむ」
そう言って馬から降りる。馬もやれやれと言った風に、頭を左右に振った。
こんな人混みの中を歩くのは馬も神経を遣うのかもしれない。
「暫く歩こうか。」
「そうするのが賢明だろうな。歩きながら見物というのも悪くない」
12:10
馬の轡を引きながら町を進めば、聞こえてくるのは祭の話題ばかりだ。
隣村の誰が出店を開くとか、祭の途中で喧嘩が起きるのは慣例とか……
…ああ駄目だ、彼を思い出してしまった。
今日は絶対に会わないようにしなければ……秀吉を奪われてたまるか…!
「どうした半兵衛、微かに殺気を感じるぞ?」
「ああ、何でもないよ」
最初のコメントを投稿しよう!