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06:50
庭から上がり、静まりかえった廊下を一人歩く。
こういう時間は、僕の急いた心を落ち着けてくれるから嫌いじゃない。
「半兵衛か、相変わらず早いな」
「秀吉!――全力で前言撤回するよ、僕が一番好きな時間は秀吉といる時さ!」
「…何の話だ?」
どうやら起きたばかりらしい。秀吉は今だに寝間着のままだ。
今日も後頭部の寝グセが一段と愛らしいよ!
「体は良いのか?」
「絶好調だよ。僕も京へ行くのは楽しみなんだ」
無論、秀吉と一緒だから、だけど。それを秀吉が知る必要は無い。
それに、軽く偵察もできる。やはり相手の状態は自分の目で確かめたいからね。
「それなら良いのだ。お前は根を詰めすぎる癖があるからな。たまには気晴らしも良いだろう」
「!僕を気遣ってくれていたのかい?秀吉…」
「我とて鬼にはならぬ。今日ぐらいは羽目を外そうではないか」
ひ、秀吉が僕のことをこんなに心配してくれていたなんて…!
「ありがとう秀吉!今日はうんと楽しもう!」
「うむ!」
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