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悠介は、それを聞いて少し瞠目したが、「……なんだ。知ってんなら今更紹介しなくてもいっか」とだけ言い、手招きして彼女を呼び寄せた。
そして意味深な目線を彼女に投げ掛けて、教室に戻っていった。
取り残された僕と彼女は、どうすればいいか分からない、といった様子でうつ向いていたが、彼女の方が先に覚悟を決めたのか、僕に向き合うと、「名前……知ってたんだね。D組の早良秋人クン」とポツリと言った。
それは夢にまで見た瞬間だった。彼女の可愛い唇が、声が、僕の名を紡いだ、記念すべきとも言う瞬間。
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