幕開け

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幕開け

その男は立ち尽くしていた。 いや、正確には空を見上げているといった方が正しい。 その男はテラスに立っているのだ。 しかし、そこは決して民家のこじんまりとした場所ではない。 広さは軽く五十メートル四方。 優しく降り注ぐ月光に照らされた植物があちこちに見受けられ、中央には輝かんばかりの澄んだ噴水が静かなせせらぎを奏でている。 まるでどこかの古城にある中庭のようだ。
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