コラボ小説~苦労人~

10/17
前へ
/243ページ
次へ
「えっ、マジ!? 本当にいいの!?」 そう言いかがらも、すでに貰う気満々らしく、顔はこれ以上ないくらい綻んでいる。 たかがメロンソーダ、一つで…… 確かに人それぞれによって、物の価値観は違うが、ここまで喜べるとかえって関心するね。 「えぇ」 玲奈も少しだけ驚きの表情を混ぜてはいたが、そんな風に喜んで貰えたのがよほど嬉しかったのか、満面の笑みで返していた。 ……やっぱなんかムカつく。 「……どうした?」 あからさまに不機嫌オーラを放ちながら、ニコニコと笑っている玲奈の肩に手を置き、問い掛ける。 今までのことをしっかりと拝ませて頂いたのだから、そんなことわざわざ聞くまでもないのだが、聞いておくのが礼儀というものだろう。 うむ、冷静だな、俺。 だが、その問い掛けも虚しく、その黒髪短髪は、玲奈の両手をしっかりと握り、 「ありがとう、本当にありがとう!! 竜、本当に天使っているんだな。 俺、感激だよ!!」 などと抜かしていた。 こりゃおめでた野郎だ。
/243ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加