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「んっ、どうした?」
ガヤガヤとうるさい教室の中、特に興味なさげに尋ねる。
本当に興味ないのかは自分の本心に問いて頂きたい。
「ちょっと今日、買い物に付き合ってくれませんか?
だいぶ冷蔵庫の中身がなくなってきましたので……
せめて昼食ぐらいはご馳走しますから」
お願いします、みたいに言われてはこちらも断れるに断れない。
どちらにしろ、これ以上ないお誘いに(どうせ荷物持ちなのだろうが……)俺は首を二度も三度も縦に振る以外に選択肢など持ってはいなかとた。
別段、わざわざ昼飯まではと思うのだが、こっちからしたら文句などあるはずもなく、黙っておく。
とりあえず修一たちを誘うのは取り止めだな。
「あぁ、別に大丈夫だけど。
どうせ暇だし……」
そういうと玲奈はクスッと微笑み、
「では、帰りましょうか!?」
と一度、背を向け、それからクルッと振り返って、手を伸ばす。
その仕草にクラッとくるも、ここで手を繋いだら、後でからかわれるだけ、むしろ他のみんなに見られてしまうと踏み、わざとらしく溜め息を付いて、
「はいはい……」
とその手を無視して、教室を後にした。
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