『真紅の着物と花』

7/11

290人が本棚に入れています
本棚に追加
/232ページ
北ノ丸の桜は城と言う事 で差ほどたくさん無く、 数十本しかないが、大き く枝を伸ばし見る者を魅 了する。 その中でも、もっとも美 しく、立派な幹の桜に庶 民では、到底買えない着 物の一団がいた。 伸行 『あれだな』 三次 『のようで』 伸行は持って来た、小豆 餅の包みを懐に。    そして能面を着け、三次 は伸行から渡された、鼓 を優しく打ち、伸行の緩 やかな動きに逢わせ、ゆ ったりと、ゆっくりと一 団の中に入っていった。 一団は、伸行の柔らかで 、優雅な舞に魅了した。 伸行 (鈴姫は何処に…) 彼は鈴姫の名を知ってい るが、父や兄と違い面識 が無い。 ましてや、まだ元服をし ておらず神戸家の家来と して認められていない。 姫様に会える立場ではな い。 だが、伸行の目に一人、 他の者と違う上品な、顔 立ちと、美しい着物に負 けない、微笑む顔を見た 。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

290人が本棚に入れています
本棚に追加