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「すごい…、おっきい…。」
その楠木は屋敷にも負けず劣らず、まるで、この場所の守り木のように、そびえ立っていた。
ハヤトはどうやら掛かっている梯子から登ったらしい。
私も、と思ったけど、そこまで人間と同じようにしなくていいや。と思って、楠木の上部の枝まで空中移動した。
…あら?
気づけばハヤトは私の下の枝に腰掛けていた。
すると徐に、ハヤトは先程摘んだ花をばらまいた。
花が舞う。
風に乗って…。
ハヤトは一人でずっと、日が沈むのを眺めていた。
一人で、ずっと…。
そういえば、ハヤトはいつも昼頃にあの花畑に来ては花を摘んで、そして多分、毎日のように、花をばらまいているんだ。
一人で…。
私は堪らなくなって、つい…
「君、…一人ぼっちなの?」
と、聞いてしまった。
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