第3話 ある晴れた日のこと

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「………………リボン」 シンデレラの目から涙がポロポロとこぼれ落ちる。 まったく、俺らしくもないな。 プレゼントだなんて。 あの後、俺はサイフ片手に真っ赤なリボンをシンデレラの為に買いに走った。 そしてシンデレラを必死こいて探し回り今に至る。 足がもう棒みたいだ。 「欲しかったんだろ?リボン。 あ……その……ほら! お詫び……と言っちゃなんだが、仲直りだ!仲直り! 俺も少し言い過ぎたと思う!うん! だから気分直せ!」 「私が言ったこと覚えてたんだ……。 ばか…… うぅ……。 こ、ここ、こんな赤いリボン……、 はは、恥ずかしいじゃない……」 そう言いつつも、これもまた慣れない手つきで素直にアタマにつけてくれる。 「どうだ?」 「おおきい……」 確かに……リボンと言うよりはリボン型の帽子をかぶっているようだ。 ……ミスった? 「し、しゃーねぇだろ!俺の財力じゃこれしか買えなかったんだ! さ、これで満足だろ?帰るぞ!」 「う……うん」 返事はするも、 なにやら歯切れが悪い。
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