第三章 民宿・さざ波

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「ハァ? 大げさだなぁ、お前。つうか春野もここでバイトしてんの?」  そう言うと里佳の頬がほんのり赤く染まった。 「そ、そうだよ……紅葉がここに住み込みでバイトしてるから私も一緒にバイトしようと思ってね……でも恥ずかしいのよね、この制服……」 「ああ、見てる分には笑えるけどな」 「……アンタ、相当根性曲がってるわね……まぁそれはそれとして、紅葉のことよろしく頼むわ」  里佳はそう言って手を差し出した。佑樹はその手を握るとニッと笑った。 「よくわかんねぇけど任せな。まぁ何を頼まれたのか良くわかんねぇけど」 「そのうちわかるよ。氷室って今日行った高校に入るんだよね?」 「さ、さぁ。今日こっちに来たばっかりだから良くわかんねぇ」 「あ、そっか。でもこの辺りにはあの高校しかないよ? 自転車で山越えるの? 相当キッツいよ~~……」 「…………は?」  よく言葉の意味が理解出来なかった佑樹は里佳に聞き返した。  高校が一つ? 山を越える? おいおい、なんかのジョークだろ? とか思いながら。
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