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顔を上げた先にいたのは年輪のように年を感じさせるしわが顔全体に広がったおばあさんだった。
着ているものは当然紅葉達のものとは違って、黒い着物を着ている。
「ふんっ! 顔は悪かぁないねぇ……よしっ! 採用ぉ!」
そう言うと女性にしては大きい手のひらを判子のように佑樹の背中に押し付けた。
「イッタァ――――ッ! な、なにするんですか!」
「なにってアンタ、タダで飯が食えると思っていたのかい? 働かざる者食うべからず! 当然じゃないかっ! アンタにはここで働いて貰うよ! いいね、モヤシっ子!」
「え……えぇぇええええ!」
そんな佑樹の叫び声が窓の向こうで優しい夕日を浴びる桜の木を揺らして花を散らした。
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