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「はあ、と言うかオレがあの高校に入学するのはもう決定ですか?」
「……なんだい、お前は紅葉よりも早く雑巾がけが出来るって言うのかい?」
「……それは……無理ですね、わかりました。じゃあ食べたらすぐ行きます」
そう言って佑樹はたくあんを口に運んだ。
「あ~~、ダリィ~~」
午前九時頃、佑樹は弁当箱片手にデコボコ道を直進していた。
旅館から徒歩二十分ぐらいの所に昨日立ち寄った白浜臨海高校がある。らしいのだが……、
「う、嘘だろ? もうとっくに二十分以上歩いてるぞ……」
佑樹は道の途中にあった石の上に崩れ落ちた。
目の前に広がる穏やかな海、白い砂、美味しい空気、そして美味そうなお弁当……。
「やべぇ……この弁当メチャクチャ食べたい……」
佑樹はハッとして首をブンブン横に振りながら海に向かって走り出した。
「ダメだダメだぁ! この年でお使いも出来ねぇなんて思われたくな――――い!」
佑樹は叫びながら膝がつかるまで海には入った。
心地よい海水がジーパンに染み込み、地肌を冷やしていく……。
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