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「気持ちいい……」
ここはオレにたくさんのことを感じさせてくれる……。
この海水も、あの太陽の日差しも、そして……、
「早乙女紅葉かぁ……不思議なやつだよ、ホント……」
佑樹は海から上がって白い砂浜に倒れた。すると優しい子守歌のような柔らかい波の音が彼の耳をくすぐった。
「……なんだか眠たくなってきたな……。そっか今日起きるの早かったもんなぁ……」
佑樹はそう呟くと、ゆっくり瞼【マブタ】のカーテンを下ろし、夢の世界に一歩踏み出した。
「…………っば……ねぇってば……くっ、起きろっ! 氷室佑樹!」
「うわぁ!?」
鼓膜を破る勢いで飛び込んできた声に佑樹は飛び起きた。
声の方に振り返ると、トレーニングウェアで不機嫌そうな顔をする紅葉が立っていた。
「あんた、こんな所でなにしてんのよ?」
「……あい? なにって、なにが?」
目をコシコシ擦りながら聞き返す佑樹。そんな彼に苛立った紅葉の額に巨大なバッテンが浮かび上がった。
「……寝ぼけてんなら、私が起こしてあげるわよっ! バカッ!」
パァ――ン……。
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