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佑樹の言葉に苛立ったのか最後の一人が声を上げた。
「なっ! 言いがかかりよ! 私らが早乙女さんに負けるわけないでしょ!?」
それを聞いた佑樹はニッと笑った。
「ふ~~ん、なら賭ける?」
「なにを?」
そう言うキャプテンに佑樹は歩み寄った。
「記録会でもし早乙女がレギュラーになったらこの罰はチャラ。なれなかったらオレと早乙女はあんたの許しがあるまで走り続ける」
「ちょっと佑樹君! なに勝手に……」
「その言葉、本気だね?」
キャプテンは紅葉の言葉を遮りながら佑樹を睨み付けた。
佑樹がフッと笑うと、海から爽やかな風が吹いた。
「ああ、本気だ」
「よかろう、その賭け乗った。早乙女さん、悔いの残らないように今から準備しなさい。白浜臨海高校の実力教えてあげるわ! 行くわよ二人とも」
キャプテンはそう言って佑樹と紅葉に背を向けて行ってしまった。
砂浜に残された二人はしばらく無言のまま穏やかな海を見つめた。
そんな空気に耐えきれなくなった紅葉はボケーっと海を眺める佑樹の胸ぐらを掴んだ。
「ちょっと! なに考えてんのよ! アンタはっ!」
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