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佑樹はズンズン進む紅葉の隣に並んだ。
そしてそっと紅葉の人差し指と中指を握った。
「オレは……オレは味方だから! なんかあったら絶対オレに言えよな!」
「……うん」
二人はしばらくそのまま波打ち際を歩いた。
言葉が出てこねぇ……。無言だとメチャクチャ気まずいんですけど!
心臓が飛び出そうなほどドキドキする!
佑樹は平然を装いながら紅葉の顔をチラッと盗み見た。
髪の毛細いな……。あんだけ長いと手入れ面倒くさいだろうに。
ん? 早乙女の頬、ほんのり赤くないか? アイツもやっぱり照れて……、
「なにジロジロ見てるのよっ! エッチ!」
チラ見のはずが思いっきり凝視していた佑樹に向かって頬を赤らめながら紅葉は怒鳴った。
「みみみ、見てねぇよ! 妄想癖でもあるんじゃねぇの?」
「もう……バカ……」
そう言うだけで紅葉は再び前を向いたまま歩き出した。二本の指を佑樹に預けたまま。
不思議に思った佑樹は紅葉の指に少し力を入れた。
振りほどかれると思ったのになんで? いつもの早乙女なら絶対振りほどくはずなのに……。
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