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「……別に振りほどきたいなら振りほどいてもいいんだぜ?」
目線を前にしたまま佑樹は言った。
「……別にいい。私が離したら、佑樹君迷子になっちゃうでしょ?」
「ハアッ!? ……まぁじゃあそういうことにしといてやるよ」
「しときなさい。ほら見えてきたわよ」
空いた方の手で紅葉は前方の建物を指を指した。
白い校舎に大きな敷地。間違いないあれは昨日見た、
「白浜臨海高校……オレが入るかもしれない高校か……」
紅葉は足を止めて呟く佑樹の方を向いてニコッと笑った。
「そっか、やっぱり佑樹君もここに入るんだ。まぁこの辺りにはここしかないから入るんだろうとは思ってたけど」
「まだわかんねぇぞ? でもほとんどの確率でここに入る。春野との約束もあるし」
「な、なによそれ。里佳となに約束したの? 教えなさいよ」
ブスッとした顔で顔を覗き込む紅葉を見て佑樹はニヤッと笑った。
「内緒~~。また今度教えてやるよ。今はレースに集中しな」
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