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紅葉の寂しげな瞳に負けた佑樹は力無く彼女に質問した。
ハァ、絶対オレに不幸が舞い降りる……賭けたっていい。誰と賭けるかわかんないけど。
そんながっくりと肩を落とす佑樹に質問されてホッとしたのか紅葉はニコッと笑った。
「里佳には部活中に話しかけるなって言ってあるの。だって里佳まで先輩に睨まれたらアタシ嫌だもん。そこで佑樹君の出番ってわけ!」
「……つまり、オレにアップを手伝えと?」
「その通り! 佑樹君見た目運動神経よさそうだし、お願いできる? ……つうか手伝え。アタシ誰にも負けたくないの。特にあのボケ上級生共には!」
佑樹の肩をガシッと掴みながら紅葉は言った。
佑樹はそんな真顔で訴える紅葉の顔を見てプッと笑った。
気が強いから負けず嫌いだとは思ってたけど、まさかここまでとは……。
でもそういう性格嫌いじゃない。
「まぁ、オレも負けるのは好きじゃない。しゃあない、手伝ってやるよ!」
「そうこなくっちゃ! じゃあ行こっ! 早くお弁当食べてアップしなくちゃ!」
紅葉は佑樹の手を取って走り出した。
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