805人が本棚に入れています
本棚に追加
「オ、オイッ! 引っ張んな! 危ねぇだろ!?」
「気にしない、気にしない! イヤァ、部外者とはいえ、高校でペアで練習するの初めてだよ!」
手を引きながら走る紅葉が笑顔で振り向くと、風が吹いて桜の花びらが舞った。
「うっ……」
そんな紅葉の姿に佑樹は赤面してしまった。
そして知った。
これが“恋”なんだと。
まだ出会ったばかりだけど早乙女と一緒にいると胸がドキドキする。
オレ、早乙女のことが好きなんだ、きっと……。
「どうしたの佑樹君? 顔真っ赤だよ? ……ハハァン、さては私の美貌の虜になっちゃったのかなぁ?」
ニッと笑いながら紅葉に図星を突かれ、さらに顔を真っ赤に染め上げた佑樹は彼女の腕を振りほどいてズンズン前に進んだ。
「バ、ババ、バッカじゃねぇの!? んなこと言うなら手伝ってやんねぇ!」
「ふぇっ!? じょ、冗談でしょ! なに本気にしてるのよ! ちょっと待ちなさいよ! 今さらキャンセルなんてさせないからね!」
「知るかバ~~カ! オレに指図すんじゃねぇ!」
最初のコメントを投稿しよう!