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「ありがとうございます! あの先輩私、前から先輩のこと……」
急に女の子がモジモジし始めた。来たよ、一番ウッゼェやつ。告白とかマジしんどいんですけど。
佑樹はニコッと笑うと唇の前に人差し指を立てた。
「ゴメンね! オレそう言うのダメだから! じゃあね!」
「せ、先輩っ!? ちょっと……」
佑樹は叫ぶ女の子を無視して、三年間通い通した通学路を疾走した。
「ただいま……」
帰宅した佑樹はゆっくりと自宅のドアを開けた。
玄関には山積みになった段ボールが沢山あった。そう言えば今日だっけ? 母さんが出てくの。別にどうでもいいけど。
ため息を着きながら薄暗くなった廊下を進むといつもの痴話喧嘩が聞こえてきた。
「佑樹はあなたが引き取って下さい!」
「なにを言っているんだ!? 『アレ』はお前が面倒を見るってことになっただろ!?」
「イヤよっ! だってあの子なに考えてるかわからないんですもの! あなたこそ実家に預ければいいじゃないですか!」
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