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「い……居るなら早く出てきなさいよ! だからイヤなのよっ! この子なに考えてるかわからないんですもの!」
「止めろっ! 佑樹の前だぞ!」
「いいよ父さん。別にオレ気にしてないし。それに……」
佑樹がニコッと笑うとその場の空気がピンっと張りつめた。
そんな空気に耐えきれなくなった母親は佑樹の胸ぐらを乱暴に掴んだ。
「それになんなのよ! ねぇっ!」
「別に生まれてから今まであんたのことを一度だって母親だと思ったことなんてないって言おうとしたんだよ。離せよ……」
佑樹は乱暴に母親の手を払いのけると、二人に背を向けた。
「父さん、オレが荷造り終えるまでにお祖母ちゃん家までの地図と住所、それと金準備しといて」
「わ、わかったよ、佑樹……」
佑樹はクスリと笑うとリビングを出た。
「なんなのよぉ! あんたは!」
と言う母親の罵声を浴びながら。
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