春菜

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平安時代、京の都。 式神とゆう相棒を持ち、陰陽道を歩む者達がいた。 俺はその一族に生まれた。 俺の名は……春菜。 女物の名だが、実際男だ。 この名は、一族の宗家の娘様の名であり、俺の新しい名。 そして俺は宗家にいる。 2年前、春菜様が亡くなられ、悲しみのあまり、魂のぬけがらのようになられた宗家の母上様に、俺は献上された。 何故? 俺が春菜様と瓜二つだからだ。 たまたま父の使いで宗家へ赴いた際に、宗家に「春菜様」と間違われ、母上様に春菜様だと思い込まれてしまった。 何度説明しようと、母上様の耳には届かないらしく、ついに他の者は諦め、俺は「春菜様」として宗家に献上された。 俺を限りなく本物にするため、宗家に両親は殺された。
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