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このっ…いちいちムカつく野郎だな!
「だからさ、俺が知りたいのは、この忍び寄る影ってやつだ。一体何なんだ?それって」
俺がそう尋ねると、カールは面倒くさそうな表情を浮かべ、溜め息をし、また本を開きだす。
やっぱりムカつく…。
「ここに書いてある通り、忍び寄る影とは日本と言う国を災いにより滅ぼした。と書いてある」
「…つまり、災難ってやつか」
俺はベッドに横たわり、1人呟くと、カールは続けて本を読み上げた。
「え~っと…、『地獄の災難』にはこう書いてある。1つの説では、この世の生物とは思えない物が現れ、街を次々と破壊していった。だってさ」
文章を読み上げるカールは、訳が分からないといった表情を浮かべながら本を閉じた。
「なんだそりゃ?アニメでもゲームでもあるまいし、そんな事があったとは思えないな」
「僕だってそう思うさ。でも、それはワイバーンや巨大な昆虫や獣達だった。とも書いてあるよ?」
「はっ、ますますアニメやゲームじゃんか。訳分かんねぇな…。俺は全く信じらんないね」
俺は言い捨てるように答えたが、カールは興味深々なようで真剣に考え込んでいる。
全く夢があって逆に羨ましい…。
「じゃあさ、今度その日本に行ってみよう!何か分かるかもしれないだろ?」
…なんかここに馬鹿がいる。
でも、面倒だから行かない。と言おうとしたが、考古学者を目指す上で流石になぁ…と思いとどまり、日本へ行くことに同意することにした。
しかし金がないんだが…。
「まぁ…別に行ってもいいけどさ、どうやって行く気だ?
まさか泳いでか?」
そう言葉を返した俺に、カールは溜め息をついた。
「ヴィント泳げないじゃん」
「って、冗談に決まってんだろ!?」
「いや…ヴィントの事だから」
こいつは俺を怒らせたいらしい。
「まぁ冗談は置いといて」
置いとくのかよ。
「日本がどこにあるか知ってる?」
トントンと閉じられた世界地図を人差し指で叩き、尋ねてきた。
それは有名な伝説があるから誰もが知っているだろう。
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