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ショットガンで頭をぶち抜かれた。
――ような気がして、絶叫した。
拍子に腹に冷たい物がかかり、思わず後ずさった。
見ると足元には空のカップが転がり、こたつに茶色い染みが広がっていく様が見えた。
なんだ、夢か。
首筋を掻きながらティッシュに手を伸ばした。
こぼれたコーヒーを拭く。買ったばかりのスウェットがびしょびしょだ。
ふぅと溜め息を吐いた。
戦争映画の見過ぎだ。撃たれる夢を見るなんて、縁起が悪い。
まだ動悸の続く心臓の鼓動が、静かな室内で鮮明に聞こえた。
その時、再び射撃音が鳴り、体をのけ反らせた。
息が止まった。
音のする方を見ると、卓袱台の上で携帯電話が小刻みに振動していた。
慌てて取ろうとしたが、それを掴んだ時にはすでにバイブは止まっていた。
“着信あり 2件”
ディスプレイを開くと、ただそれだけの質素な文字が表示されていた。
履歴を見ると、かけてきたのは会社の先輩だった。
何の用だろうと気になったが、どうせ居酒屋の誘いだろうと勝手に当りをつけ、乱暴に携帯を放った。
再びティッシュで拭き掃除に取り掛かろうとした瞬間、血の気がひいた。
さっき投げたばかりの携帯をもう一度覗き込む。
ディスプレイの右上に小さく表示された数字を凝視した。
寝ぼけている頭でその数字の意味を理解するには、だいぶ時間を要した。
いや、理解したくなかっただけなのかもしれない。
右端の数字が一つ切り替わった時には、違う意味で絶叫していた。
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