Retrial

5/5
前へ
/22ページ
次へ
「だったら」 玄関に向かう僕を彼女が制止した。 「だったら、まずは許してよ。私を許して」 振り向いた肩越しに、小さくなった彼女が震えていた。 小さくて小さくて、今にも消え入りそうだった。 さようならするつもりだったのに。 でも、さようならなんて、出来るはずもないんだろう。 だから、走ってきたんだろう。 なら、 走れ! 僕は、急いで彼女に駆け寄った。 全力で駆けた。 そして、思い切り抱き締めた。 痛いくらい、抱き締めた。 「ごめんなさい」 謝る彼女に、僕は笑ってみせた。 彼女に負けないくらいの、飛び切りの笑顔で。 Fin.
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加