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「だったら」
玄関に向かう僕を彼女が制止した。
「だったら、まずは許してよ。私を許して」
振り向いた肩越しに、小さくなった彼女が震えていた。
小さくて小さくて、今にも消え入りそうだった。
さようならするつもりだったのに。
でも、さようならなんて、出来るはずもないんだろう。
だから、走ってきたんだろう。
なら、
走れ!
僕は、急いで彼女に駆け寄った。
全力で駆けた。
そして、思い切り抱き締めた。
痛いくらい、抱き締めた。
「ごめんなさい」
謝る彼女に、僕は笑ってみせた。
彼女に負けないくらいの、飛び切りの笑顔で。
Fin.
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