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私の名前は砂史 守瀬宗。
先日私の生まれ故郷の福島県で消息を絶った叔父をさがしに、その地まで訪れた。
村は閑散としたゴーストタウンのようで、昔の炭鉱の朽ちた姿があたりに幾つも見える。
私は両親とここに暮らしていたが五つの時、叔父さんに連れられて東京に移り住んだ。両親は亡くなったと知らされている。
先日民族学者の叔父さんがこの村を訪れて消息を絶ってしまった。
警察にかけあったが見つからないまま捜査は打ち切りとなり、それきりだ。
私は諦めきれない。親同然の叔父さんをみつけたい。せめて痕跡だけでも見つけて手掛かりにしたいのだ。
この荒れ地のような村に、彼は来ていたはずなのだ。
バスで三時間かけてここまできた私は疲れていた。やすいビジネスホテルがバス停の前にあったので、今日は休んで明日から叔父さんの手掛かりを探すことにした。
……………
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不気味なホテルだ。受付はガラス張りで中を確認することはできない。
係の人に話かけるとなにも言わず鍵を差し出した。
鍵のナンバーは208。
汚い部屋だったが疲れていたのでベッドに横になりすぐ寝てしまった。
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