捜査

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事態を重く見ていた本部はマスコミへ捜査員行方不明の報告をせずにいた。 翌朝 夜の間にも連絡はなかった。先に行方不明になった叔父と甥も、捜査員もどこにいったか分からずじまいである。 「渡辺はたしかに炭鉱から出て来たときは一緒にいたんだな?」 渡辺とはいなくなった捜査員である。彼は班長の目の前で捜索をし、一緒に炭鉱からでてきたのにいつの間にかいなくなってしまった。 誰も彼を見ていないし、捜索中はあまり話もしていない。落ちるような崖もないし、熊に襲われたわけでもない。 「どこにいったんだ渡辺は…」 捜索隊の隊長は首を傾げたままだ。 「たしか…渡辺はここの村の出身ですよ?小さいころに市内に移り住んだらしいですけど。」 渡辺はこの浅野村の出身で、小さいころに両親とわかれて市内で祖母と暮らしていた。 「先に行方不明になった二人と同じだな…」 「まぁそんなことは刑事さんたちにまかせて俺たちは捜索しましょう。なにか手掛かりを見つけなければなりませんしね。」 東は言った。しかし怖かった。この村の出身者が次々と行方不明になっていることが怖かった。 「こんな不気味なことがあってたまるか…」 三人の共通点は同じ村出身で両親と離れて住んでいること。東も幼い頃に市内に移り住み、親の顔を知らない。 「東、大丈夫か?顔真っ青だぞ?」 西が心配そうに東に話し掛けた。 「大丈夫です!仕事しましょう。」 捜索二日目が開始された。手掛かりは見つかるのだろうか。
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