覚醒

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理不尽な思いを飲み込みながら日を追ううちに私はあることに気がついた。 脳内に目で見ているのとは違う映像が小さく見えていたのだ。言うなれば『別ウインドウ』なのだが、それが日を追ううちに徐々に大きくなってきたのである。そしてその窓にはとても肉眼では見えない霊の姿や、まだ見ぬ未来や、知り得ぬ過去や、はるか遠隔地が見えるのであった。 そう。これが霊視と言われる力。今まで力を持っていない者が力を持つとどうなるか…それは火を見るより明らかであった。 私はまるで子供のように喜び、色々と霊視していった。 もちろん件の彼女が先生と仰ぐ陰陽師の霊の姿も私にも見えるようになっていたのである。 その陰陽師は私の力が目覚めてきたことを知ると、彼女から私を遠ざけるように彼女に指示するようになった。 彼女とすれ違いを感じるようになり、いつの間にやら彼女とは連絡を取らなくなっていった。
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