黒い影

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最初は時々視界の端に黒い影がチラッと見えて消える程度だったが、3ヶ月もしないうちに大胆に黒い人の形をした影が見えるようになってきた。そして、気がつけば昼夜を問わずバキッとかガタンというラップ音が聞こえるようになってきていた。 そんなある日、娘を寝かせようと布団に行き、ナツメ球を点灯して寝かせようとしていたときのこと。表現しようの無い危機感に襲われたのだ。それと時を同じくして娘がガバッと起き上がり、悲鳴を上げて半泣きになって私に抱きついてきたのだ。 同じタイミングで、リング型の蛍光管が音も無く落ちてきたのだ。娘の布団の頭の位置に蛍光管は落ち、私は固まってしまった。見上げると、知らぬ間に蛍光灯が円を描くように回っていた。 蛍光灯を触った者はいないし、紐にも誰も触れていない。リング型の蛍光管は止め具でしっかり止めてある上、電線をつなぐコネクタも硬いので、どう考えても自然に落ちるとは思えないのだ。
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