ことの始まり

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何故お祓いを受けたいのか聞いてみたところ、最近何かにつけて運が悪く、どうもおかしいのでお祓いを受けたいとのことだった。 当時の私の知識で判断する限り、彼女は明らかに霊的な影響を受けていた。そこまではわかるのだが、どう対処して良いかわからない上、お祓いを頼むと、大して効果がなくてもがっぽり金を取られるとの認識を持っていたので、ただただ彼女の話を聞くことしかできなかったのである。 霊に怯える彼女は、毎日私の仕事が終わるのを待ち、私と一緒に会社を出て、私の車に一緒に乗り込み、自宅に帰るのを拒んでいた。自宅に帰ると、一人の部屋なのに背後に人の気配がし、あちこちでラップ音がし、寝れば金縛りにあい、下手をすると一人なのに耳元で男の声がする。置いてあるものが勝手に倒れ、チリンチリンと夜中に鈴の音が聞こえる。入り口から煙のようなものが入ってきて人の形に変化したりして、怖くて寝ることもできないので帰りたくないと言うのである。 帰りたくないと言われても帰ってもらわねば困るので嫌がる彼女を自宅に強制送還する毎日であった。
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