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今日は曇りか。
窓際の自分の席からは外の景色がよく見える。
暇な授業中はよく外をみて時間を潰す。
この生物の時間もそうやって過ごそうと思っていた。
でもくらくにごったしろい空をみたら、なんだかがっかりしてしまってカーテンを閉めた。
膝掛けの位置をなおす。
先生の声をききながら机につっぷした。
「‥さん」
誰かが私の名前を読んだ。
誰だろう。
「どこかわるいの?」
いつも聞いている仲のいい友達の声ではない。
でも、一度は聞いたことのある声だ。
「…ううん。すこしねむいだけ」
失礼だとは思ったが伏せたまま返事をした。
「そう。ならよかった」
思い出せない。
「かぜがはやっているからきをつけてね」
「ありがとう」
ゆっくりと起き上がりながら言う。
目の前にはもう誰もいなかった。
いつのまにかカーテンが開けられていた。
外はさっきよりも明るくなっていて、
すこしあおぞらが見えていた。
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