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「買い物行かない?靴と服が見たいんだ」
私はうなずき、彼に従う。
買い物中の彼は、目をキラキラさせているから。それを見ているの、結構好き。
「今日は、俺の車で行こう」
そう言ってジャケットから、ブランド物の黒いキーケースを取り出す。
そして、私が好きな笑顔を見せる。
「うん!」
あぁ。もう、最高!
この笑顔を、ずっと見ていたい。
黒いセダンの助手席に乗り込み…彼の好きな、流行りの曲を聞く。
買い物中、私はずっと笑っていた。そうしたら、彼も笑ってくれるから。
1時間ほどかけて買い物を済ませ、少し店内をフラフラしてから帰ることにした。
来たときと同じように、助手席に座る私に
「家、寄ってく?」
彼からの思いがけない提案。
実は、彼の家には行った事がない。
私の方が仕事が終わるのが遅いから、私の帰宅に合わせて彼が私の家に来る。
わざわざ着替えて、出直すのも何だろ?…なんて。細やかな気遣いをしてくれているんだよ?
すごく嬉しいじゃない。
でも『私の家』っていうのが当たり前になっちゃったから、なかなか『行ってもいい?』って言えなかった。
「行く!」
私は張り切って答えた。
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