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しかし、貧乏な彼と付き合うことを、親族が許してくれる筈はない。だから飛希はいつも内緒で彼に会いに行っていた。
外に出る口実を作っては彼のところに行き、その度に彼は飛希を笑って迎え、楽しい時間を与えてくれた。
飛希が経験したことの無い世界に連れ出して、沢山の事を教えてくれた。
そして飛希が帰る時には、優しく腕の中に抱き寄せ、「愛してる」と囁いてキスをしてくれた……。
……けれど、もしもあの電話が本当だったときは、飛希はその男がどんな人物でも、婚約するつもりだった。
そう、飛希は自分の幸せより、家族の幸せを願ったのだ。
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