嘘と真実

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ところが中は不気味なほど静まりかえっていて、人の気配も感じない。 飛希は不安で心臓を高鳴らせつつも、なるべく足音をたてないよう、静かに部屋の中へと入っていった。 ……インペリアル=スイートの中は想像以上に広く、いくつも部屋へと続くドアがあったが、飛希は自分の行くべき場所が分かっているかのように、迷いなく進んでいく。 そして一番奥の部屋に入ると、予感的中、そこには一人の男が立っていた。 窓の方を向いて立っていたので、ちょうど飛希に背を向ける形になり顔は見えなかったが、スラリとした長身を黒いブランドスーツに包み、どことなく品の漂う雰囲気を釀し出している。
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