嘘と真実

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「でも本当は騙すつもりなんて、なかったんだ!なんていうか、言い出しにくくて……。で、3日前に親から連絡があったんだ。婚約は白紙にしたから戻ってこいって。だからあの部屋を引き払って、家に戻ったんだ。そしたら君の会社が倒産しそうだっていうじゃないか。だから僕は慌てて両親を説得して、君の父さんの会社に電話を掛けたんだ。で、せっかくだから素性は名乗らずに電話を切った。……君たちがどう対応するかが見たくて…──ごめん」 すると飛希は冬夜の頬を平手で叩き、涙をポロポロこぼしながら、彼の胸を子供みたいに何度も叩いた。膝がガクガク震えているのは、安堵からか、それとも怒りからか…──。 「バカッ!私……本当に知らない人と婚約させられるかと…──!冬夜にもう会えないかと思っ……て……ッ!」
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