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「だらしないですわよっ、委員長っ!」
ハゲの後ろ、眩しくてまったく見えなかったが、そう言えばこいつもいたんだ。朝から本当にご苦労様って感じだよ。
すっとハゲを後光代わりにして出てきたのは、一人の女子生徒。その風貌は、いかにも優等生。そして、お決まりの黒ぶち眼鏡をかけている。三つ網、膝下スカートなど今のこの国では最早、天然記念物かも知れないぐらいの人物構成だ。
「おはようございます、水上先輩」
俺に向かって頭を下げる女子生徒につられて、俺も頭を下げる。礼儀ってものはちゃんとしないといけないんだ。
そう教えられたんだよ、親父に――。
「ああ。おはよう、倫子」
「やんっ……倫子って呼び捨てされちゃった、きゃっ」
颯爽と現われてきたのに、この変わり様。身悶えてクネクネと体を動かしている姿は軟体生物。
しかし、倫子といい、あのハゲといい、まともな奴はいないのか? うちの風紀委員には。
さっきのハゲ浜守はこの学校の風紀委員長で、このクネクネしてるのが一年で副委員長をしている御佳倫子(みよしりんこ)。
「あっ、倫子ちゃん」
「あはよう、瑠璃さん……ついでに、琥珀さんもおはよう」
「ついでって、何よっ」
同じ一年の瑠璃達の同級生で、クラスメイト。しかも、意外と仲がいいときている。
一歩間違えば喧嘩になりそうな事を言っているが、当の本人達は笑顔で話し合っている。よく分からない組み合わせだが、仲が良いのはいい事だ。
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