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「それで、今日は何なの?」
「それがね……聞いてよ、琥珀さん。また、ハゲが暴走してね……困っちゃうのよね」
まるで井戸端会議をするおばちゃんのように肩を竦めて話す倫子だが、仮にも先輩で委員長をハゲ呼ばわりか? 人望ないな……ハゲ。
「ハゲハゲ言うなっ」
「お……やっと復活したか、たこ将軍」
「たこ言うなっ! 今度はたこかよ。ハゲ言ったり、メロンマスク二世言ったり、うっさいぞっ」
勢いよく立ち上がり叫んでいるハゲ。今度は顔が真っ赤で、まるでゆでだこ。
だから、たこ将軍。
ちなみに、近所に同じ名前のたこ焼き屋があったりもする。安くておいしいので、生徒達に大人気だ。
「水上、勝負だっ」
「だから、何のだよ」
「今日こそはお前に捕らわれた愛しの――」
ハゲが話し始めたその時、待ってましたと言わんばかりにタイミングでチャイムが鳴り始めた。
「あ、始まっちゃうよ。行こう、琥珀ちゃん、倫子ちゃん」
「もう、またハゲのせいで遅刻寸前になっちゃったよ」
瑠璃と琥珀はそう言いながら、校舎へと走って行く。その後をしっかりと追っていく倫子は、本当に仲の良い事だ。残された俺に珊瑚が肩を叩き促してくるので、そのまま校舎へと向かう事にした。
「毎朝、ご苦労様って感じ……」
「それを言ったら、俺達もだ」
大体、いつも俺に勝負だと言ってくるが、勝負した覚えがない。それも全てチャイムが鳴るから没収試合だ。
ミスターチャイムマンと俺は勝手に呼んでいるが、色々とあだ名があって羨ましい奴だな。
うしろを振り返ると、未だに呆然と固まっているハゲがいるが捨てておこう。
それより――いつも俺に何の用なんだよ、あいつは……。
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