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俺は走っていた。
ありえないほどの全力疾走である。陸上世界記録保持者もびっくりの記録が出ている事だろう。
では、何故走っているのか?
別に怪物に追われている訳でも、悪戯して雷親父から逃げてる訳でもない。
それはうしろから、男なら一度は叶えてみたいハーレム的な数の女子(おなご)に追われているからだ。
口々に、「お兄ちゃん」「お兄様」などと可愛く呼ばれた日には、普通の男なら間違いなく嬉し涙を流して喜ぶだろう。ちょっと野太い声で「兄貴っ」って聞えるが、それは聞えてない事にする。と言うか、消えてくれと切に願う。
俺はお前等のお兄ちゃんではないんだ。頼むから来ないでくれ。
――これ以上、妹はいらないんだよ!
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