第三話:愉快な仲間が多い事だ。

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 にこやかに手を振る女の子――こいつは、佐々木美鶴(ささきみつる)。  目の前にいる変な男の妹だ。  綺麗な艶のあるセミロングの髪と、丸くちょっと目尻が垂れている瞳に、上向きにカールしたまつ毛。小振りな鼻にピンク色のプリっとした唇。可愛い部類に入るが、意外と喧嘩っ早い性格で琥珀と仲が良い。あいつと組んだ美鶴は最強タッグで、どんな奴でも敵わないと思うぞ。  そして、顔に縦線がびっしり入って、ショックを隠し切れてない様子で「ひどいよ…さんごっち」とか言ってるこの男は無視しておこう。  気持ち悪いぞ、お前。  いや、こんなに冷静に観察している場合ではなくて、こいつ等……俺の机に何て事を! 「こらっ、美鶴、功治っ! 人様の机に何してんだよ、教科書さん達に謝れっ」 「だから、おにぃ……頭が痛い人になってる。かわいそうな人に成り下がってる」 「うっさいわ! これは俺の問題だっ」  冷たすぎるツッコミにもめげず声を張り上げる俺に、周りからは冷ややかな視線がビシバシと降り注ぐ。  まずい、本当に頭が痛い人になっているようだ。しかし、ここまできて引く事など出来るかっ! 「引き際を間違えた愚かなおにぃ」 「うっさいっ、それ以上言うなっ」  それから珊瑚、無表情に笑うな……気色悪いから。  ニヒル過ぎるぞ。笑うなら声を出せ、声をっ! 「おお……我が友、イモウトスキー亮!」 「そういう呼び方するんじゃねえ! 功治っ」 「愚負っ……そして、挫苦……」  お腹を押さえながら倒れこんでいく功治。意味分らない事を言ってるんじゃないよ。
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