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寝起きはいい方なので問題はない。
起こしに来なくても大丈夫だと言っているのに絶対に聞かない。と言うか、聞こうともしないで段々とエスカレートしていっている。
そのうち、この世とおさらばするかも知れないな……俺。
「早く下りろよ。起きられないだろ」
「むう、分かったよ。それより、兄貴……」
渋々と俺の上から退いていく琥珀はため息を吐き、ベットから下りて一言。
「……欲求不満は、体に毒だよ」
ポンポンと肩を叩き、悲しそうに目を伏せて首を横にフルフル。琥珀はそのまま俺の部屋をあとにしていた。
呆然としている俺は暫く経って、やっと言葉の意味を理解した。
なんてマセガキだ。
これは朝だから仕方ない事なんだ。男なら誰だってなるんだ!
決して、欲求不満などでは……決して、決して――。
「だあーっ!」
あいつにこんな侮辱を受けるなんて、ショックだ。俺、生きていけないよ。
それより、女の子ならもう少し恥じらいを持てと言うのだ、琥珀。俺の方が恥ずかしいって、どういう事だよ。
「お、お兄ちゃん……どうしたの?」
部屋の入り口。開け放たれたままのドアから声が聞える。
琥珀の奴、また閉めていかなかったな。何回言ったら、ちゃんとできるんだよ。それよりも、あのドアの隙間でピコピコ動いている物体はなんだ?
「お、おにい……ちゃん? 朝から叫んでるけど、おかしくなった? もしかして壊れた?」
未だにピコピコ動く物体が更に小刻みに動き始めた。さらりと酷い事を言うものだ。
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