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「い、いいい、一番っ! 瑠璃、脱ぎますっ――ちゃらららあーん」
「だあっ! 待て、瑠璃っ。脱ぐな!」
目がグルグルと廻っている瑠璃は、可愛い猫柄パジャマの上着に手を掛けて脱ぎ始めていた。
しかも今回は自分で歌ってるバージョンかよ。
まずいぞ、これは最高潮にまずい。
チラリと覗く白い肌と二つの山、それを包む布地に一瞬ドキッとした。随分と成長したな、お兄ちゃんは嬉しいぞ。……て、そんな事を考えている場合ではない!
止めないと、こいつはこのまま全部脱いでしまうんだった。
昔のぺッタンコならまだしも、今の身体で脱がれた俺は――
「野獣と化しますね……おにぃ」
そうなのだ。
俺は野獣と化してしまう。だから、琥珀にも欲求不満などと……!
「朝から、夜の情事とは……。おにぃも中々やりますなあ」
「うおっ! さ……珊瑚っ!」
「グー出るパー勝つ……ちゃお」
意味不明な事を言って手を上げている珊瑚(さんご)は、ほとんど無表情に俺を見つめている。
少しは笑うか、軽蔑するか、表情をつくってくれないと、俺もリアクションに困るんだからな。
「何が言いたいんだよ」
「朝の挨拶」
もしや、「グーテルモーゲン」って言いたかったのか?
しかし、何故にドイツ語?
まあ、それを分かる俺もすごいと思う。さすがは、長い付き合いと言うべきか。
「それにして……朝からお盛んな事ですね。この鬼畜外道の悪代官」
「ぐおっ」
精神に一〇〇〇ポイントのダメージ。しかも、どこ見ながら言ってんだよっ!
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