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「なっ何でエル君がここに!?」
「僕にもさっぱり……。と言うかここは何処ですか?」
エルは立ち上がりながら言った。
「分かんない。なんか船の上っぽいんだけど……」
「船?」
エルは周りを見渡した。
「これって……かなり昔の船じゃないですかっ!」
エルは船を見ながら分かりきった事を叫ぶ。
「んなこたわかっとるがな。ところでなんでエル君がここに?」
「僕にもさっぱり……ただ、雨の中、急いで走っていたら滑って物の見事に水たまりに頭をつっこんで……そこから記憶が……」
エルの言葉を聞き、葉月は頭を抱える。
「私と同じパターンか……。あ、龍斗!龍斗何処っ!」
葉月は思い出したように叫ぶ。
「こっ……ここ……」
上の方から声がした。
「龍斗っ!?」
どうやら見張り台から聞こえたようだ。それに気づいた葉月達は見張り台を、よく目を凝らして見つめた。
すると、見張り台の所から足と手が生えているのが分かった。
「い、今降りる……」
「だ、大丈夫……?」
龍斗は見張り台から延びる網を伝って降りてきた。
「あー……腰……打った……」
龍斗は腰を押さえながら葉月達へ近づく。
「あれ、なんでエルまでいんだ?つか、ここ何処」
誰もが思う疑問を龍斗は問うが逆に、こっちが聞きたい、と言う二人分の視線が、龍斗に向けられただけだった。
「なんかこの分じゃ白也も来そうな「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」
ザッボーン!
…………。
龍斗の声を遮る悲鳴と共に、白也らしき物が空から降ってきて海に落ちた。
「……今の、白也……?」
「「……」」
…………。
ダッ!!
三人は一斉に白也らしき物が落ちた方へ駆けより、海へ落ちない程度に身を乗り出す。
しばらくすると海面に陰が浮かび上がってきた。
「……ぷはっ!たっ助けっぶはっ!!誰っ……かっ助けっ……てっ!!!」
何とか水面から顔を出した白也は、手足をばたつかせてあっぷあっぷしていた。
「白也だ……」
「白也先輩だ……」
「白也先輩ですね……」
葉月達は声を合わせる。
「みっ見てないでっ!た助けって……!!」
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