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私が男なら絶対に惚れてるなってつくづく思う。
二人で話しながら学校へ向かっている最中、少し先に一人の男の子が立っていた。
容姿は中学生くらいで、服装はパンクな感じの黒でまとめている。私から見てもカッコいいと思わせる服装だ。
「今時の中学生ってイケてるよねぇ」
小春も同じ男の子を見ていたようで、感心したように口にした。
「しかも顔、めっちゃかっこよくない?」
小春の言う通りだった。深く被っていたニット帽から見える顔をマジマジと見てみると、確かに芸能人のようにカッコいい。
二人でハシャいでいたら、その男の子は私達に近付いてくる。
その様子に二人で焦っていると、すぐ目の前に来た男の子は、真っ直ぐに私を見た。正確には『睨んでいた』。
「歩くのが遅いぞっ!!森中千雪っ!!」
完全に『寝耳に水』な発言に、私はギョッと目を開く。
「えっ……私!!?」
「千雪の知り合いだったの?」
「えっ、いや…」
親戚などを思い出して見ても、こんなカッコいい子は知らない。
でも……聞いたことある声だった。
「僕が分からないのか?まぁ仕方ない。この姿で貴様の前に出るのは初めてだからな」
その口調を聞いて私は一人思い当たり、恐る恐る口にした。
「もしかして……モリヤくん…?」
私の問いに男の子は頷いた。
コウモリが人間になるなんて聞いてませんからっっ!!!!
「やっぱり知り合いなんだ。てか、貴様って……すっごい口悪いね」
小春があからさまにムッとした表情になる。
「ご、ごめん小春っ!!えと…この子少し前まで外国住んでてさ、日本語覚えたの漫画読んでからみたいで…だからこんな口調なんだよねっ」
「あ、そうなんだ」
苦しい嘘かと思われたが、小春は容易に納得してくれた。心底ホッとする。
そして改めてモリヤくんに向き直る。
「一体なんで……」
「お呼びになっているんだ。早急に来るようにとの言い付けだ」
「…っ…それって……ッ」
モリヤくんが言ってるのは、きっと『城主』のことだ。
とっさに判断した私は、首を傾げている小春に目を向けた。
「…小春ごめん。ちょっと行ってくる」
私がそう言うと、しばらく小春は私を見つめていた。
そしてニッコリと笑う。
「うん、行ってらっしゃい。気を付けてねっ!!先生は任せてよっ」
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