- 序 - 

2/2
前へ
/88ページ
次へ
塩澤 充 と言う男がいる 彼と初めて会ったのは 大学のゼミだった 塩澤は 決まった友人も作らず ゼミの集まりにも参加せず いつも 始業直前に来ては 決まって誰よりも先に退室した だから 遅刻もせず 勤勉に出席していた私は 半年近くも 彼に気付かなかった 実際 彼を知る学生も 私生活についてまで知る者はいず 大半は名前もうろ覚えだった そんな 人間嫌いの彼と 今の様に親しくなったのは ある事件がきっかけだった そう 忘れもしない 2003年12月の あの事件だ----
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加