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真夜中の参道にしんしんと降り積もる白銀の雪。その白い絨毯の上を、二人の男女が踏みしめていた。
暗い空間を月光が照らし、それをまた雪が反射する。
「俺としてはもう少し時間が欲しかったんだが、そうも言っていられない状況なのでな」
ロングコートを羽織った男が、懐から銃を取り出し、女の額に充てがう。途端に鋭くなる女の眼光。
「さようなら。鳳凰感染者」
引金が引かれる、――刹那。銃は弾かれ、女の手に握られた。女の刺すような微笑に、男は一瞬のけぞる。
「やめろ……やめろ……やめてくれ……ま――」
真冬の寒々しい夜空に、音無き銃声は響いた。
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