ウサギを追いかけて

9/11
前へ
/301ページ
次へ
金色の長い髪に、 深い、マリンブルーの眼。 白い肌は、搾りたての早朝のミルクを思わせる。 「……わた、し?」 画の中には、私……いや、私にそっくりな人がいた。 多分、私より幾分も年上だと思われる女性が、優しくほほ笑んでいる画。 私はそれが、1番綺麗だと感じた。 最初は、私にそっくりって思っていたけれど……今では全然そう思えない。 いや、ここまで言うとヘコんでくるけどね。 彼女は、私なんかよりも断然美しかった。 いや…私が見た人の中で1番美しかった。 私はまるで、 時が止まったかのようだった。 瞬きをしないまま、 再びゆっくりと落ちて行った。 どこまでも…。 どこまでも…。 どこまでも…。 私は堕ちて行った。  
/301ページ

最初のコメントを投稿しよう!

862人が本棚に入れています
本棚に追加