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おじさん→僕
あっははー。お前すごいな。マジで言ったの?
いや、すげーよ。お前すげーよ。「ウケ狙いでした」。なかなか言えないよ。そりゃ社会人失格だよ。主任も怒るよ。
でもな、社会人としては失格だけど、お前は人間としては勇者だったと思うぜ。
なー?みんな?
ってオレは誰に話しかけてるんだろうな。たぶん天使たちにだ。
お前もうすぐヘタレ卒業だ。卒業証書はオレが作ってやるよ。
人間って面白いよな。こうやって自分の殼を破って行って、強くなって行くんだよな。
そうして行き着いた先が……オレみたいな浮浪者かもしれない。
でもいいんじゃねーか?オレは自分を一度も曲げる事なく生きて来た。その結果は浮浪者だったけど、オレはそれを一度も後悔してないぜ。もう一度人生やり直しても、オレはたぶんこのままおんなじ人生を生きるぜ。
あのな、兄ちゃん。お前のガッツを見たからオレは初めて本気で語るんだけどよ、人間が真っ直ぐに生きて行くってのは本当に難しい事なんだ。
そこには地位とか名誉とかかんけーねーんだ。
嘘ばかりついて自分を折り曲げている国会議員が、人として真っ直ぐに生きているかって話だ。
明らかに自分で指示を出していながら、自分は知らなかった部下が勝手にやったと不祥事を弁明する大会社の社長が、人として真っ直ぐなのかって話だ。
みのもんたの醜い顔を見ろ。
あいつらは嘘のつき過ぎで心が麻痺してるから、ああやって嘘をついた時に心に痛みを感じねーかもしれない。
でも、それって人として終わってねーか?
初めて嘘を付いちゃった時に、心に感じたあの痛みを保ち続ける事は、人間にとって大切な事なんじゃねーか?
これは生き方価値観の問題だ。
オレはそれが一番大事だと思って生きて来た。
だから世間の色々な部分とぶつかって来たし、今じゃこんな有り様だけどよ、でも心はそこらの60歳よりは澄んでいるつもりだ。
オレには心以外何もないからな。
説得力があるだろう。
オレはオレの心以外、守るものは何一つないんだ。だから、オレはオレの心を大事に磨いてる。
きっとな、オレに天賦の才があればオレはこのピカピカの心を何かの形で残せたのだと思う。しかし、残念ながらオレにはその才能がなかったからこの通りの浮浪者だ。それだけの話だ。
長くなっちまったな。
今日はふぁっくとは言わないぜ。オレは人間の本当の事を言っているのだから。
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