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『は~い』
梅垣は何気なくドアを開いた。
『よっ!梅さん』
ドアの向こうに居たのは梅垣の住む302号室の隣301号室の松井和之であった。
彼とは同じ年齢で隣という事もあって仲良くしていた。
ただ普段の職業などについては知らなかった。
『どないしたん?松井』
『梅さん…自分に頼みがあるんですわ』
松井の表情が少し真剣になった。
『どないした?』
梅垣も顔を緊張させた。
『実は…ある女の子かくまって欲しいんですわ』
『女の子??』
『オレが働くバーの女の子なんですわ』
『バー!!自分お水系やったんや!』
『そうですわ』
なぜか松井は誇らしげな顔になった。
『まあバーに勤めてるのはいいけど女の子かくまってって何で?』
梅垣は当然の質問をした。
『それが…親にバイト見つかって追い出されたらしいわ』
『へぇ~…でもそれなら松井も1人暮らしやし自分の家置いてあげたらいいやん』
『そうしたいのはやまやまですが店の送り迎えでオレの家住所にするわけにもいかんでしょ?』
『それ言うなら自分と隣って住所もおかしいやん』
『大丈夫ですわ!店にはオレの隣を借りたって言いましたから』
『はぁ~!!』
梅垣は叫んだ。
『まあそういう事ですわ』
『ちょ…』
『愛ちゃ~ん!OKですわ』
『おい!』
『お世話になりますm(_ _)m』
『エッ?え~!』
梅垣の混乱がおさまらぬうちに松井に連れて来られた愛と言う女の子はヒールを脱いで部屋へとあがった。
梅垣はぼー然と立ち尽していた。
『じゃあお願いしまっさ』
松井はそう言い残すと部屋へと戻って行った。
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