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『来年、大きなプロジェクトがある。
お前を主演とした映画だ。』
どうだいい話だろうとばかりの社長の言葉に、雅は礼儀正しく答る。
『ぜひやらせてもらいます。』
社長が大きくうなづく。
そして満面の笑顔になった。
『お前なら、そう言うと思ってたよ。
そこでだ。その映画は恋愛映画だ。
お前、恋愛経験はあるのか?』
『恋愛経験ですか?』
雅が言葉を濁す。
小さい頃から芸能界という仕事をしていた雅には、恋愛経験などあるわけがない。
女の子との恋愛はタブーとされていた。
そんなことが分かれば、人気が落ちるとばかりに、行動は制約されていたからだ。
『はっきりいってないですね。好きな子ならいたことはありますが、恋愛となると話は別ですからね。』
正直に答えた雅の言葉に、社長が難しい顔になり、言葉をきりだす。
『そうか。
なら、恋愛をしろ!
社長命令だ。
恋愛をしたことのないお前が恋愛映画で、いい演技が、いや主役を演じることなどできるわけがない。
だから、恋愛をしてみろ。ただし、バレたら終わりだ。
よって、お前が選んだ相手をこちらで、付き人もしくはマネージャーとし契約してもらう。
いいな!』
雅は思いもよらない社長の言葉に驚いた。
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